私の故郷は長野県の北外れ、新潟県との県境に近い飯山市です。市内は飯山線が貫き、高い所から見た蛇行する千曲川や高井富士と呼ばれる高社山の風景は素晴らしく“日本の原風景が感じられる町”として読売新聞の『遊歩百景』の一つとして紹介されました。人々はみな素朴で人が好いです。昔は家に鍵などは無く、もちろん塀や垣根もなし。
名物は蕎麦です。山牛蒡(やまごぼう)の葉の繊維を練り込んだ独特の歯応えは私を大の蕎麦好きにしました。春は山菜採り、秋はアケビや栗、茸(きのこ)と山をかけ回り、兄は毎日の様に千曲川で鰻獲りでした。
今は斑尾(まだらお)高原も開発され、堤防での菜の花祭りが有名ですがどうも自慢する気にはなりません。
(釜利谷東・綱川)