私は軍隊の経験はありませんが、戦争の最中青春を過ごしました。
旧制中学2年、横須賀に住んでいた頃、憲兵隊が家に突然上がりこんできて家中を調べ廻りました。米国から発信されるラジオ短波を傍受していないか、家々を調べ廻っていた中の出来事でした。その横須賀憲兵隊の建物は、今は消防本部になっています。
学徒動員で川崎の富士電機に行かされました。寮に入れられ、働かされながら勉学です。英語は必要ないとされ、その他の学科も十分に学べませんでした。工場ではリアカーを引っ張って廻り部品の整理です。
学生は小隊ごとに編成、一人の落ち度は連帯責任で小隊全員ぶん殴られました。
富士山裾野の練兵場に連れて行かれ、訓練させられました。夕食後、整列している時一人がおならをし、誰かが「くすっ」と笑ったことが咎められ、寒いなか火山灰土の上を1時間、這いつくばって進む匍匐前進をさせられました。服は破れ、全身土だらけです。
そんな中、絵の先生が「今の戦争は貧乏人(日本)が金持ち(米国)の家の玄関でわめいている様なもの」といいました。外に知られればたちまち憲兵に捕まっていたところです。
六浦南 在住 H氏87歳